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むち打ち損傷の主な症状と治療法+臨床的分類と末梢神経損傷の分類の説明

むち打ち損傷とは、交通事故などにおける頸椎の損傷機序をいうものであるが、頸椎の急激な過伸展、過屈曲による障害であり、頸椎のほか、筋・靭帯・神経・血管などさまざまな損傷が考えられる。

1⃣ 主な症状(むち打ち3主徴)

①頚部痛

②頭痛

③頚部運動制限

臨床的には次のように分類されることが多い。

2⃣ 臨床的分類

①頸椎捻挫型

むち打ち損傷の軽度のもので約80%を占める。胸鎖乳突筋・前斜角筋・僧帽筋・菱形筋・大胸筋などの損傷や椎間関節の捻挫による疼痛・圧痛・運動時痛がみられ、「寝違え」の症状に似る。知覚異常や頭重感・頭痛・項部痛・上肢疲労脱力感などの不定愁訴を主体とするが、二次的の発症した前斜角筋症候群の症状として前腕と手のC₇、C₈領域に知覚異常がみられることがある。約3週間で軽快するが、数ヶ月愁訴の持続することもある。

②頚部交感神経症候群(バレ・リーウー型)

頸椎損傷に際し、頚部交感神経および椎骨動脈が障害されたため起こる。他覚初見に乏しく、後頭部・項部痛、めまい、耳鳴り、視覚障害、顔面・上肢・咽喉頭部の知覚異常、夜間上肢のしびれなどの不定愁訴を主体とする。

③神経根型

椎間孔内外における神経根の圧迫による。頭部から上肢まで神経症状を呈し、咳、くしゃみ、頸椎の過伸展・側屈回旋による症状増悪する。他覚的には、分節性知覚異常、深部反射の減弱、筋力低下のほかスパーリングテスト、ジャクソンテストなどが陽性に出る。

④脊髄型

頸椎の脱臼骨折を合併した場合や頚椎症・後縦靭帯骨化症を伴う場合には、脊髄症状を呈することがある。症状は下肢よりも上肢に著明で、上位頸髄が障害された場合には、横隔神経が損傷され呼吸麻痺により死の転帰をとることもある。

3⃣ 末梢神経損傷(Seddon分類:Sunderland分類

①一過性神経伝達障害(neurapraxia):Ⅰ度

一時的な興奮伝達の障害(軸索の連続は保たれる)。変性の起こらず正常に戻る。

②軸索断裂(axonotmesis):Ⅱ度

軸索が断裂(結合織や神経鞘は残る)して変性が起こるが、軸索は再生する(神経腫は再生しない)。

③神経断裂(neurotmesis):Ⅲ度・Ⅳ度・Ⅴ度

結合織も断裂して、神経腫を形成する。

4⃣ 治療法

軽度の頸椎捻挫型の場合は保存的療法を原則とする。初期には安静とし、頸椎カラー固定など行う。損傷の程度により炎症や軟部組織の修復される約2週間以後可及的早期にはずし、温熱、軽度の手技療法を行う。牽引療法も有効なことが多い。神経症状を伴うもの、とくに頸椎症や後縦靭帯骨化症を伴う神経根型や脊髄型の場合は入院治療がよい。